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基本手当の日額

雇用16-3

 受給資格に係る離職日に60歳以上65歳未満である受給資格者
の賃金日額が、同年齢層について定められている賃金日額の上限額
であった場合、その者の基本手当の日額は、その賃金日額に100
分の40を乗じて得た金額となる。

■■解説■■

 1日早い更新です。

 日曜日は台風みたいな1日でしたね。大雨が降るといつもあふれる
うちの前のドブが、またあふれました。こういう所の対策に市税を
使ってほしいものです。

---------------------------

 基本手当の日額は、賃金日額に一定の率をかけて算出されます。

 この数字はちょくちょく聞かれますので、きちんと覚えましょう。

 原則           100分の80~100分の50

 60歳以上65歳未満 100分の80~100分の45

 ですね。

 ですから、本問では「40」とあるところを「45」とすると
正しい文章となります。

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 ついでに、賃金日額の算定方法も確認しておいてください。

 被保険者期間として計算された最後の6か月間に支払われた
 賃金総額

 を

 180

 で割ります。

 労働基準法で出てきた平均賃金の算定方法とごちゃ混ぜになら
ないように注意しましょう。

 こちらは

 算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金総額

 を

 算定事由発生日以前3か月間の総日数

 で割って算定します。

本問の答え>×

障害基礎年金の失権

 国年17-3

 障害の程度が厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級
に該当しなくなって、3年経過したときはすべて障害基礎年金の受
給権は消滅する。

■■解説■■

 1日早い更新です。毎度毎度申し訳ありません。 

 昨年の問題です。以前にも申し上げましたが

          「すべて」

 この言葉がキラキラと怪しく光っている問題です。

 「すべて~である」「~のみ」「~に限られる」とかこの類の表現
が出てくる問題は、まず「誤り」ではないかと推定して読んでみた方
がいいです。

 法律には「例外」がつきものです。その中で「すべて~である」と
言い切れるためには、例外が絶対に1つも存在しない場合でなければ
なりません。

 そんなものは、そうそうあるものではありません。ですから、この
手の問題は「誤り」でないかと疑って読んでみることで、より早く正
解に近づけると思います。

---------------------------

 さて、問題の内容ですが、まず条文を見てみましょう。原文からは
少し表現を変えてあります。

失権(第35条)

第2号
 厚生年金保険法に規定する3級以上の障害等級に該当する程度の障
害の状態にない者が、65歳に達したとき。
 ただし、65歳に達した日において、当該障害等級に該当する程度
の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま当該該当
することなく3年を経過していないときを除く。

第3号
 厚生年金保険法に規定する3級以上の障害等級に該当する程度の障
害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま該当すること
なく3年を経過したとき。
 ただし、3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満で
あるときを除く。

---------------------------

 第2号を説明するとこういうことです。

 ある人が障害等級2級で障害基礎年金をもらっていたとします。

 その人の障害等級が軽くなって、3級相当になりました(この時
点で障害基礎年金は支給停止です。失権はしません。つまり、お金
が一時的に止まっているけど、権利自体はなくなっていないという
こと)。

 更に軽くなって3級にも該当しなくなりました。

 3級に該当しなくなった以後に、65歳を迎えたら65歳になっ
た時点で障害基礎年金が失権します(つまり、権利自体なくなって
しまうということ)。
 ただし、65歳になった時点で3級に該当しなくなった日から数
えてまだ3年経っていないときは、65歳になった時点ではなく、
3年経った日に失権します。

---------------------------

 第3号も同様に説明するとこういうことです。

 ある人が障害等級2級で障害基礎年金をもらっていたとします。

 その人の障害等級が軽くなって、3級相当になりました。

 更に軽くなって3級にも該当しなくなりました。

 3級に該当しなくなった以後、3年経ったらその時点で障害基礎
年金が失権します。
 ただし、3年経った時点で、本人がまだ65歳になっていない場
合は65歳になった時点で失権します。

---------------------------

 これを、わかりやすくまとめるとこういうことになります。

12-7
 障害基礎年金の受給権は、

 厚生年金保険の障害等級3級に該当しない者が65歳に達した
 とき
              又は

 その障害等級3級に該当しなくなった日から該当しないまま3年を
 経過したとき

 のいずれか遅いほうが到達したとき消滅する。

答え>○ 

本問の答え>×

事業主からの特別の費用徴収⑵

 さて、月曜日の続きです。

 昨年法改正があったという話なのですが、どの部分であったかと
いうと、事業主からの費用徴収について条文上は「全部又は一部を
事業主から徴収することができる」とされているのですが、この
「全部又は一部」の具体的内容が改正されています。

 故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出していない期間
に発生した事故について

 故意の場合
 具体的には、行政機関から保険関係成立届の提出について指導等
を受けたにも関らず提出していない事業主
 →支給のつどその額の100%相当額を費用徴収
  (この部分が改正前は40%でした)

 重大な過失の場合
 具体的には、行政機関からの指導等はないが、保険関係成立日以
降1年を経過してもなお提出していない事業主
 →支給のつどその額の40%相当額を費用徴収
  (こちらは改正前後で率は変わりません)

 ここ数年の過去問を見ると、この具体的な率の数字(40%)は
聞かれたことはなかったと思いますが、今年ばかりはちょっと覚え
ておいてもいい数字なのかなという気がしています。

 実務的にも、厚生労働省はこの点についてビラを作って、現在労災
未適用の事業主に盛んに広報活動をしたりしていますので話題にはな
っている改正です。

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 またこんな問題も出題されていますので、併せて見ておいてくだ
さい。

11-6
 事業主等に対する費用徴収権については、政府が1年間これを行
使しないときは時効により消滅する。

>答え ×(2年間です)

 
本問の答え>×

事業主からの特別の費用徴収

 労災14-7

 事業主が故意又は重大な過失により保険関係の成立に係る届出を
怠っている間に生じた事故については、政府は、保険給付の全部又
は一部を行わないことができる。

■■解説■■

 国民年金保険料の滞納が多いと社会保険労務士の登録を認めない
というニュースが、先週ありました。

 「江戸の仇を長崎で」という気もしないでもないですが、みなさ
んも「合格したけど登録できない」なんてならないようにお気をつ
けくださいませ。

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 さて本問の答えは×なのですが、この分野の問題は昨年(17年)
にも出題されていますし、よく出題される分野です。

17-2
 事業主が、故意又は重大な過失によって労働保険料の納付を怠っ
た期間中に生じた事故に関しては、政府は、保険給付の全部又は一
部を行わないことができる。 

>答え ×

 更にこの分野については昨年「法改正」がありましたので、今年
も要注意の分野と言えるでしょう。

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 この問題について、まず出題者がどこでひっかけようとしている
のかを見てみることにします。

 この問題を○としてしまった方は、「テキストのどこかにあった
よ。故意や重大な過失で、行わないとか全部又は一部を行わないこ
とができるとか‥‥」と思っているでしょう。

 それはいわゆる「支給制限」と呼ばれている規定です。

[絶対的支給制限]
 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の
原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。

[相対的支給制限]
 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により‥‥(略)‥
‥政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 これですよね。出題者は、これとひっかけようとしているのです。

 じゃ、ひっかからないように覚えるにはどうすればよいのでしょ
うか?。

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 着目点は、「誰が悪いことをしているか」です。

 本問(14-7)では、悪いことをしているのは誰ですか?。

 事業主が故意又は重大な過失により保険関係の成立に係る届出を
怠っている間

 とありますから、悪いことをしているのは事業主です。本来法律
で提出が義務付けられている届出をしていないからです。労働者は
なんも悪いことはしていないですよね。

 同様に17-2では、悪いことをしているのは誰ですか?

 事業主が、故意又は重大な過失によって労働保険料の納付を怠っ
た期間中に

 とありますから、悪いことをしているのは事業主です。払わなけ
ればいけない保険料を払ってないからです。これも労働者にはまっ
たく関係ない話です。

 このように悪いことをしているのが事業主の場合、いわゆる「費
用徴収」(保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を
事業主から徴収することができる)という話になります。

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 それに対して、上に書いたいわゆる「支給制限」では、悪いこと
をしているのは誰ですか?。

 絶対的支給制限では、「労働者が、故意に負傷、疾病、障害若し
くは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたとき」と
ありますし、相対的支給制限では「労働者が故意の犯罪行為若しく
は重大な過失により‥‥」とあるように、悪いのは労働者本人です。

 わざと労災でケガをしたりしているのは、労働者自身です。事業
主はなんも悪いことはしていません。

 このように労働者本人が悪い場合は、「支給制限」の話になります。

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 以上の話をまとめると、以下のようになります。

 悪いのが事業主
 →事業主から費用徴収(お金を払ってもらうというペナルティ)

 悪いのが労働者
 →労働者に支給制限(本来行われる保険給付をしないというペナルティ)

 問題文を読んだときに、この基準で見分けていくと出題者のひっか
けにもひっかからなくなるのではないでしょうか。

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 続いて法改正についてもお話しする予定でしたが、今日の分が長く
なり過ぎました。続きは水曜日ということでお願い致します。

                       (つづく)

特定療養費

 健保15-3

 被保険者が風邪により特定承認保険医療機関から療養を受けた
ときは、療養の給付が行われずに、特定療養費が支給される。

■■解説■■

 1日早い更新です。

 本問については、そのとおり○です。

 特定療養費については、いわゆる「混合診療の禁止」の解禁とか
らんで、何年も前から医療の世界では話題になっているところです
ので最近社会保険労務士試験でもよく出題される傾向にあります。

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 「混合診療の禁止」というのは、診療の中に一部でも保険が適用
されないものが含まれていると、原則としてその診療全体が自由診
療となり保険給付の対象外となるという原則です。

 この原則について、「こんなものは無くしてしまえ」という人々
と「いや、必要だ」という人々の間で、ここ何年も丁々発止の議論
がなされています。

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 受験対策的には、とりあえず

(1)特定承認保険医療機関の医師は、保険医でなければならない

(2)特定承認保険医療機関では、特定療養費に関することのみが
   行われる

(3)特定承認保険医療機関と、保険医療機関は同時にはなれない。

(4)特定承認保険医療機関以外で高度先進医療を受けると、全額
   自費になるということ

(5)特定療養費の領収書の規定

 これくらいで十分だと思うのですが、最近はどのテキストにも載っ
ていない通達を出すような問題が出てますね。例えば、

17-8
 特定療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提
として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られる。したが
って、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認
められる場合は、特定療養費の支給対象とならない。

16-8
 予約診療について特定療養費を徴収するに当たって、それぞれの患者
を予約時間から1時間以上待たせたり、医師1人につき1日に診療する
予約患者が40人を大幅に超えるような場合は、特別の料金の徴収は認
められないとされている。

 といった問題です。これらも今年は大きな顔して載っているテキスト
もありますが、それぞれの出題年の前年のテキストでこれを載せていた
ものというのは皆無だったと思います。

 ですから、受験生の立場からすると「なんだ、これ?。知らねーよ、
こんなの」っていうのが試験会場での実感だったと思います。

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 こういうのが以前に書いたいわゆる「めくらましの問題」です。例え
ば17-8で見てみましょう(問題は各自過去問題集で見てください)。

A 15年に選択で出題されている過去問です。誤りとわかります。

B 上に書いた「治験が‥‥」という選択肢。正誤はこの時点では不明

C 「統一されている」という点で、すぐ誤りとわかります。

D 超基本事項。すぐ誤りとわかります。

E 昨年の改正事項ですから押さえられていた方が多かったと思います。
  誤りです。

 これでわかりますね。A、C、D、Eが誤りなのですから、残ったB
が正解です。Bの「治験が‥‥」というのは知識として知らなくても、
この問題は十分得点できるのです。

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 以前に書いたことの繰り返しのような感じになってしまいましたが、み
なさんに社会保険労務士試験を過度に難しく捉えてもらいたくなくてご紹
介しました。

 
本問の答え>○

ひとやすみ、ひとやすみ

 今日は、過去問解説はお休みです。

 みなさん、勉強は順調に進んでいますか?。「絶好調!」という方は
いらっしゃらないと思います。

 それぞれ、勉強時間の確保に悩んだり、覚えてもすぐ忘れてしまうこ
とに悩んだり、いろいろな悩みを抱えていることと思います。

 安心してください。何の悩みもなく勉強を続けていける人なんて、い
ませんから。資格学校の教室で自分の隣りに座っているすごく賢そうな
人も、きっと何か悩みを抱えているはずです。

 大切なのは、勉強を続けることです。あきらめてしまえば、今年の合
格は絶対にありません。

 勉強を始めたみなさんに待っている結末は、次の2つしかありません。

        合格する    あきらめるか

 どちらがいいですか?。もちろん「合格する」ですよね。あきらめて
しまったら、おそらくこれから先ずっと後悔すると思いますよ。
「どうして、あの時にやめちゃったんだろう?」って。

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 もう勉強なんかやめようと思ったら、自分が社会保険労務士試験を受
けようと決意した一番最初の気持ちを思い出してみてください。

 義務教育ではないのですから、みなさん「自分から」この世界に飛び
込んで来たはずです。

  どうして社会保険労務士試験を受験しようと思ったのですか?。

  合格したら何をしたいと思っていましたか?。

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 社会保険労務士試験は、決して1番で合格する必要はない試験です。
合格基準点に、爪の先でもひっかかっていれば合格なのです。

 かっこ良く合格しようなんて、決して思わないでください。かっこ
良く合格しようとする人は、あきらめるのも早いものです。

  「ビリでもなんでもいいから、とにかく合格ラインに滑り込む」

 これでいきましょう。こう考えると少しは気が楽になってきません
か?。
 

全額払いの原則

 労基15-3

 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控
除した額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数
を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことは、労働
基準法第24条違反としては取り扱わないこととされている。

■■解説■■

 いわゆる端数処理の問題です。

 この問題はそのとおり○です。「必ずしも労働者に不利ではない」
なんてよく問題解説に書いてあります。確かに40円が切り捨てら
れて「損した」ということもあれば、60円なのに100円に計算
してくれて「ラッキー」ということもあるでしょう。

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 端数処理は、各科目色々なところで出てきます。あまり「なぜ?」
という理屈がないところですので、要は知ってるか知らないかだけ
の純粋な暗記分野です。

 私は自分が受験時代に端数処理は全く覚えることができず、結局
試験直前にツメコミで乗り切りました。

---------------------------

 ここで主なものをまとめておきましょう(12-4などは過去問の
出題年と番号です)。

≪労基≫
12-4
1か月の時間外労働の時間数(1時間)

   30分未満切捨て
   30分以上1時間未満切上げ

1時間当りの賃金額・割増賃金額(1円)
1か月にあたる時間外労働の割増賃金の総額(1円)
   50銭未満切捨て
   50銭以上1円未満切上げ

===========================

≪労災≫
15-1
給付基礎日額(1円)

   1円未満切上げ

自動変更対象額(10円)

   5円未満切捨て
   5円以上10円未満切上げ

4-?
年金たる保険給付額(1円)
一時金たる保険給付額(1円)

   1円未満切捨て

===========================

≪雇用≫
自動変更対象額(10円)

   5円未満切捨て
   5円以上10円未満切上げ

===========================

≪徴収≫
概算保険料・確定保険料(1円)

   1円未満切捨て

13-9、15-8、17-9他
賃金総額(1,000円)
追徴金又は延滞金の計算の基礎となる労働保険料額(1,000円)

   1,000円未満切捨て

   
12-10、15-8
延滞金の額(100円)

   100円未満切捨て

===========================

≪健康保険≫   
一部負担金(10円)

   5円未満切捨て
   5円以上10円未満切上げ

標準賞与額の算定の基礎となる賞与額(1,000円)

   1,000円未満切捨て

10-?、17選択
延滞金の計算の基礎となる徴収金額(1,000円)

   1,000円未満切捨て

17選択
延滞金の額(100円)

   100円未満切捨て

============================

≪国民年金≫
年金給付額(100円)

   50円未満切捨て
   50円以上100円未満切捨て

支払期月ごとの支払額(1円)

   1円未満切捨て

保険料の額(10円)

   5円未満切捨て
   5円以上10円未満切上げ

延滞金の計算基礎となる徴収金額

   500円未満切捨て

徴収金の金額

   50円未満切捨て

=============================

≪厚生年金≫
16-10
年金給付額(100円)

   50円未満切捨て
   50円以上100円未満切捨て

支払期月ごとの支払額(1円)

   1円未満切捨て

標準賞与額の算定基礎となる賞与額(1,000円)

   1,000円未満切捨て

16-7
延滞金の計算基礎となる徴収金額(1,000円)

   1,000円未満切捨て

12-9、14-5
徴収金の金額(100円)
   
   100円未満切捨て

 
本問の答え>○

一般保険料

 徴収17-9(労災)

 請負による建設の事業であって賃金総額を正確に算定することが
困難なものについては、その事業の種類に従い、請負金額に所定の
労務費率を乗じて得た額を賃金総額とする。

■■解説■■

 そのとおりです。この辺りは、昨年平成17年(労災9)と、平
成13年(労災9)に過去問で出題されています。

 いずれも○の選択肢で出題されており、特に問題はないと思いま
す。 

---------------------------

 問題では問われてないのですが、注意して頂きたいのは「賃金総額
を正確に算定することが困難なものについては」という部分です。

 この特例を勉強すると、

 請負による建設の事業
 立木の伐採の事業     =  特例の適用を受ける
 水産動植物の採捕‥‥

と思い込んでしまう方がみえます。そうではありません。

 あくまでも、これらの事業について「賃金総額を正確に算定するこ
とが困難な」場合
にこの特例を使っていいですよ、ということです。

 ですから、言葉を変えればこれらの事業であっても、賃金総額を正確
に算定することが困難でなければ、原則通り「賃金総額」を使って計算
してください、ということです。

 ここを誤解しないようにしてください。

---------------------------

 それと、平成16年(労災9)では、こんな問題も出題されています。

 16-9(労災)

 一般保険料の額は、原則として、賃金総額に保険料率を乗じて得た額で
あるが、労災保険に係る保険関係が成立している数次の請負による事業で
あって賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、請負金額
に事業の種類に応じ厚生労働省令で定める率(労務費率)を乗じて得た額
が賃金総額とされる。

 どうでしょう?。「上に書いてあるのと同じ」でしょうか?。
よ~く読むと「請負による建設の事業」でなければならないところが、
「数次の請負による事業」となっています。

 そこでこの問題は×ということになります。紛らわしいですね。

 
本問の答え>○

16年改正

 厚年17選択
 次の文中の( )の部分を選択肢の中の適当な語句で埋め、完全な
文章とせよ。

 平成16年の改正では、厚生年金保険の最終的な保険料水準を
( A )%に固定し、その範囲内で給付費を賄うことを基本に、給
付水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入した。

 この自動調整の仕組みは、年金制度を支える現役世代の人数の減少
分と( B )を、毎年度の年金額の改定率から減じるものである。
しかしながら、新しく年金を受給し始める時点での標準的な年金額の
厚生年金保険の( C )から公租公課の額を控除して得た額に対す
る比率(所得代替率)については、50%を上回る水準を確保するこ
ととし、所得代替率が50%を下回ることが見込まれる場合には、調
整の終了等の措置を講じるとともに、( D )の在り方についての
検討を行い、所要の措置を講じることとした。

 また、財政運営の方式としては、100年程度の間において給付と
負担の均衡を図り、財政均衡期間の最終年度における積立金水準を支
払準備金程度(給付費の約( E )年分程度)とする有限均衡方式
を導入した。

【選択肢】
(1)全被保険者の平均標準報酬額  (2)3  (3)17.6
(4)18.0  (5)男子被保険者の平均標準報酬額
(6)高齢者人口の増加分  (7)2  (8)手取り賃金割合の
 低下分  (9)男子被保険者の平均標準報酬月額  
(10)18.3  (11)出生数の減少分  (12)4
(13)平均余命の延び  (14)財政方式  (15)保険料
(16)保険料と国庫負担  (17)1  (18)給付と費用負担
(19)15.4  (20)全被保険者の平均標準報酬月額 

■■解説■■

 今日は趣向を変えて、選択式からの出題です。

 昨年の問題です。その前年の年金改正から出題されました。文章自体
は平成16年版厚生労働白書や改正条文からの文章ですので、なんとな
く「見たことあるな」という方も多くいたのではないでしょうか?。

 ある程度出題が予想された部分でした。

---------------------------

 年金については、平成16年改正といわれる大改正が一昨年ありまし
た。ただこの全体像を話し出すと、到底1日では終わりません(笑)。

 ここでは今年の試験を受けるみなさんに向けて、平成16年改正事項
のうち、今年から新たに試験対象になってくる点の中で主なもの挙げて
みます。 

平成17年10月~

  「厚生年金基金連合会」が名称を変更し、「企業年金連合会」に

平成18年4月~

  障害基礎年金と老齢厚生年金等の併給が可能に

  保険料納付要件の特例措置期限の延長(障害・遺族)

 これ以外にもまだありますが、とりあえずこの3つが主なものになり
ます。そのうちここでは、紙幅の関係で4月始まりの2つについてお話
ししたいと思います。

---------------------------

 まず、障害基礎年金と老齢厚生年金等の併給が可能にについてお話し
します。

 これはどういう話かというと、今までは年金をもらう場合原則として
1階部分と2階部分は同一の年金でなければ併給されませんでした。

 すなわち、老齢基礎年金 と 老齢厚生年金

      障害基礎年金(1、2級) と 障害厚生年金(1、2級)

      遺族基礎年金 と 遺族厚生年金

*「65歳以後の老齢基礎と遺族厚生」等の話はとりあえず措いておき
 ます。

 そうすると、例えば若い頃の国民年金加入中に障害を負って障害基礎
年金をもらっている人が、その後働けるようになって働いた(厚生年金
に加入した)場合に、今までは65歳から

   老齢基礎年金と老齢厚生年金  又は  障害基礎年金

のどちらか選択という形にしかなりませんでした。

 この場合、障害を持ちながら働いた人はたいてい労働時間は短く賃金
も低いことが多いため老齢厚生年金は低額になり、額が多い障害基礎年
金の方を選択することになります。

 こうなると、自分が働いて納めた厚生年金の保険料はまるっきり「掛
け捨て」状態になってしまいます。そこで障害を持ちながら働いたこと
が評価される仕組みにするため、65歳以後に、

        障害基礎年金 と 老齢厚生年金

という併給を改正法は認めました。更に、

        障害基礎年金 と 遺族厚生年金

障害基礎年金 と 老齢厚生年金の2分の1 と 遺族厚生年金の3分の2

という組合せも一定の条件の下に認めました。     

---------------------------

 次に、保険料納付要件の特例措置期限の延長についてお話しします。

 これは、障害基礎(障害厚生)年金や遺族基礎(遺族厚生)年金で、
保険料納付要件を見るときに、

       「納付済と免除で3分の2以上必要」

というものがありましたが、その特例として、

          「直近1年未納なし」

というものがありました。

 この特例は「平成18年4月1日前」に初診日(死亡日)がある必
要があったのですが、これが「平成28年4月1日前」に延長された
という改正です。

---------------------------

 年金は本当に大変ですね。特に昨年からは改正事項が山のように増
えて大変さに拍車がかかっています。

 ただ、確かに改正事項は大事なのですが、それだけに目を奪われる
ことなくそれ以外の基本的な部分も疎かにしないように注意してくだ
さい。

---------------------------
注)これ以降の事項は今年の試験には直接関係ありません

 ちなみに、来年の試験になると

平成18年7月~
 多段階免除制度の導入
 ‥‥いまある全額免除・半額免除に、4分の3免除と4分の1免除が
   加わります。これが加わった後の老齢基礎年金額の計算式は想像
   するだけで‥‥(恐)。

 定時決定・随時改定等の報酬支払基礎日数の改正
 ‥‥いま20日なのが17日になります。週休2日制の普及で、労働
   日数が減ってきたためだそうです。

平成19年4月~
 申出による支給停止制度
 ‥‥年金を自ら辞退できる制度だということですが、ちょっとその趣
   旨が??な制度です。

 老齢厚生年金の繰下げ
 ‥‥数年前に改正で消えていきホッとしていたのもつかの間、老厚の
   繰下げがまたまた復活です。

 70歳以上の在職老齢年金制度の導入
 ‥‥70歳で厚生年金の被保険者ではなくなるのに、それ以後会社勤
   めを続けると在職老齢年金になるという、これまたよく分からな
   い制度です。

 離婚時の年金分割
 ‥‥いよいよ始まります。

 この他にも、高齢期の遺族年金の見直し、若齢期の遺族年金の見直し
など、主な改正事項だけ挙げましたが、これらがみんな試験範囲に加わ
ってきます。

 どうです?。恐ろしくなってきませんか?。

          「今年で必ず合格する」

って強く強く思ってくださいね。

 
本問の答え>
A(10)   18.3
B(13)   平均余命の伸び
C(5)    男子被保険者の平均標準報酬額
D(18)   給付と費用負担
E(17)   1

失業等給付

 雇用11-7
 受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場
合には、所定給付日数を超えた期間について「訓練延長給付」が支給さ
れるが、他に、所定給付日数内も含む公共職業訓練等を受ける期間にわ
たって「技能習得手当」が雇用保険三事業として支給される。

■■解説■■

 雇用保険に特有の問題です。他にも同じ類の過去問をいくつか挙げて
みます。

 12-5
 就職促進給付には、再就職手当、常用就職支度金、移転費、広域求職
活動費、寄宿手当という4種類の給付が含まれる。

 14-1
 雇用保険では、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続
が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行う失業等給付のほか、
失業の有無を問わず労働者の自発的な教育訓練の受講を支援する教育訓
練給付と、雇用安定、能力開発、雇用福祉のいわゆる三事業を行っている。

 15-6
 技能習得手当には、受講手当、特定職種受講手当、研修手当、及び通
所手当の3種類がある。

 16-5
 就業促進手当には、就業手当、再就職手当、常用就職支度手当の3つ
がある。

 13-7
 高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職
給付金、高年齢常用就職支度金の3種類がある。

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 「もう、やめて~」という感じですね。雇用保険法はこの類の問題が
ちょくちょく出題されます。

 単純に考えれば全然難しくない問題なんですね。テキストを見ながら
なら、何も考えることなく誰でも簡単に答えることができるはずなんで
す。
 でも、これが実際に出されると「あれれ??」ってなっちゃうんです。
どうしてでしょうか?。

 みなさんも勉強していて既に実感されていると思いますが、雇用保険
では「○○手当」とか「××給付」とか似たような名前が多くて紛らわ
しいのです。そして、それが雇用保険全体の中で一体どこに位置してい
る給付なのかが、これまた覚えにくいのです。

 出題者も受験生のそういう実態を分かっていて、あえてこの類の問題
を出してきます。
 意地悪ですねえ。でも社会保険労務士試験は基本的に「落とすための
試験」ですから、受験生としてはこのような意地悪にも耐えそれを克服
していかなければなりません(「渡る世間は鬼ばかり」の赤木春恵と泉
ピン子のような関係でしょうか。そう言えば、赤木春恵さんは実際はと
ても性格の優しい方のようですよ。まあ、どうでもいい話ですが)。

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 本題に戻ります。

 そこでこのような問題に対する対策なのですが、雇用保険の体系図
(よくテキストの最初の方や最後の方についています)をコピーして
常に手元において、ことあるごとにそれを参照しながら雇用保険の勉
強をしていくという方法をおススメいたします。

 私は、自分の受験時代には、雇用保険の基本テキストの表紙裏にコピ
ーを貼っていました。中には、コピーした体系図を適当な大きさの厚紙
に貼って、それを雇用保険のテキストのしおりとして挟んでいた方もみ
えました。

 最初はいちいち参照するのが面倒なのですが、慣れてくると段々と体
系図が頭に焼き付いてきますので、いきなり「△△給付金」とか言われ
ても、「そういえば、体系図のあの辺りにあったよなあ」とぼんやりイ
メージできるようになってきます。

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 話は脱線して行ってしまうのですが、いつも「全て自分の基本テキス
トに集約」ということを言っているのもこのためなんです。

 1つのテキストに全てを集約して常にそれを使っていると、いきなり
何か聞かれた時でも、「そういえばテキストのあの辺りの上の方に、そ
のことが書いてあったなあ」って、仮に記憶が不確かであっても不確か
ななりに記憶を呼び戻す手がかりがつかめることが多いのです。
 もちろんしっかり覚えているところなら、テキストの記載がバシッと
頭に浮かんできます。必ず

      「基本テキストを1つ決めて、それに全て集約」

を守ってください。

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 上に並べた過去問の解説もしておきますね。

 12-5‥‥×

 寄宿手当は就職促進給付ではなく、求職者給付です(なお、出題
当時には常用就職支度金という手当がありました。現在はありませ
んので、この点は気にする必要はありません)。

 14-1‥‥×

 教育訓練給付は、失業等給付の1つです。

 15-6‥‥×

 技能習得手当には、研修手当というものはありません(なお、出
題当時には、特定職種受講手当という手当がありました。これも現
在はありませんので、気にする必要はありません)。

 16-5‥‥○

 13-7‥‥×

 高年齢常用就職支度金という保険給付はありません。

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 本問については、技能習得手当は「失業等給付」のうちの「求職
者給付」の1つです。「雇用保険三事業」ではありません。

 
本問の答え>×

障害基礎年金の受給要件

 国年15-2
 傷病の初診日において20歳未満の第2号被保険者は、障害認定日に
おいて、障害等級に該当する障害があるときは、障害基礎年金及び障害
厚生年金の受給権が20歳未満でも発生する。

■■解説■■

 1日早い更新です。

 年金(特に厚年)を苦手にしていらっしゃる方は多いと思います。

 国年は比較的基本的な問題が多いので厚年とあわせて7割(14点)
を目指しましょうという話を以前いたしました。

 それに加えてもう1つ。

          年金は「老齢」だけではない

 当たり前の話なのですが、これも意外と見落とされがちなことなの
です。年金で「特難」の問題が出題されるのは「老齢」の部分である
ことがほとんどです。

 みなさんもご存知のとおり、年金の問題は「老齢」の他にも「障害」
からも「遺族」からも出題されます。そして「障害」や「遺族」につ
いては、割合基本的な部分から出題される傾向にあります。

 ですから、わけのわからない(笑)老齢の難問より、こちらで点数を
確実に取っていきましょう。いつも言っていることですが、

   難しい問題を解いても1点、基本的な問題を解いても1点

なのです。難しい問題だと3点、簡単な問題だと1点というようになっ
ているならば、なんとか難しい問題も解かなきゃとなるのですが、そう
ではありません。

 確実に取れるところから、1点1点をもぎ取っていく。そうすれば1
歩1歩確実に合格に近づいていきます。

 年金は「障害」「遺族」からも必ず毎年出題されます。「老齢」ばか
りに目がいって、こちらをおろそかにすることがないようにしてくださ
い。

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 この問題を見たときに、「20歳未満?。じゃ、20歳前障害基礎年
金かな?」って思ってはいけません。問題文の「20歳未満」とある後
に注目です。

           「第2号被保険者は」

ってあります。つまりこの人は、現役の被保険者なのです。

 中卒又は高卒で会社員になった方は、20歳前であっても立派な「国
年の第2号被保険者・厚年の被保険者」です。

 被保険者である間に障害状態になれば(他の要件を充たす限り)、
本来の障害基礎年金・障害厚生年金を受給できます。
 
 20歳前障害基礎年金は、あくまでも20歳前の「被保険者でない間」
の傷病による障害の話です。間違えないようにしましょう。

 
本問の答え>○

労働福祉事業

 労災17-7
 労働福祉事業は、原則として、独立行政法人労働者健康福祉機構が
統括して行うこととなっている。

■■解説■■

 月曜日の健康保険に続いて、昨年の問題です。

 昨年の問題について色々と言われていますが、多くの方が言われる
のが

       「過去問の焼き直しが多かった」

 ということです。

 日頃、バカのひとつ覚えのように「過去問、過去問」と言っている
私なので、「またかよ」という感じなのですが、やっぱり大事ですよ、
過去問は。

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 ただ、過去問も全て同じレベルで制覇していなければならないかと
いうとそうでもありません。

 前にも書いたような気がするのですが、過去問の中にも何回も繰り
返し出題されている問題と、たまにしか出題されない問題(中には1回
こっきりの問題も多くある)があります。

 特に1回こっきりの問題は、いわゆる難問・奇問であることが多く、
これらはまあ無視してもたいてい大丈夫でしょう。

 何回も繰り返し出題されている問題(これを知るために択一の「一問
一答型」の過去問題集
は有効です)、これは絶対押さえましょう。

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 出題者が問題を作るときに、「全ての選択肢について正確に正誤を
判定してくれ」と受験生に期待していない問題も多くあります。

 例えば、選択肢の構成が

 A 難しくて初めて見るような通達の内容

 B 過去問で何回も聞かれた内容。過去問をしっかりやっていれば
   正誤は瞬時にわかる。

 C 今年の法改正分野。まあ知っていて欲しい内容。

 D ちょっと難しい規則の内容

 E 難しくて初めて見るような通達の内容

 こんなふうになっていたら、出題者はAやDやEを知っていて欲し
いなんて全然思ってないんです。聞きたいのはただ一点、Bだけなん
です。

 つまりAやDやEは単なる目くらまし(煙幕)なんですね。水戸黄
門で風車の弥七が敵から逃げるときに放る煙幕弾みたいなものなので
す。敵も煙なんかに構わず弥七を追えばいいのに、「わあ~」とか言
って煙に気を取られている間にみすみす弥七を逃してしまう。これと
同じです。

 この問題は

 「Bを分かってますか(つまり過去問をやってきてますか)」

 「それ以外の目くらましに惑わされずBで正解できますか」

というだけの問題なんです。

 変に勉強が進んでくると、この辺りを誤解してAやDやEも分かっ
てなければ合格できないんだと勘違いして、どんどん難しい内容に走
っていってしまい、一人泥沼に沈んでいってしまう方がみえます。そ
して

   「社会保険労務士試験は覚えることが膨大で大変‥‥」

 ということになってしまうのです。

 もちろん、AやDやEについて知識として知っていればそれはそれで
大いに結構なことなのですが、出題者はそこまでは求めていないと思う
のです。

 といっても、勉強を始めたばかりの方は、どれが大事な過去問でどれ
が大事でないかの見極めをどうしたらいいのかわからないと思います。

 一つの目安としては、

 1、過去何年かで複数回同じ内容が出題されているかどうか

 2、テキストで太字なり色がついていて強調されている部分かどうか

 3、資格学校に行っている方は、講師が講義中その分野についてどうい
  う扱いをしたか

 この辺りで判断していってください。勉強が進んでくると、なんとなく
この辺りはわかってくるものです。
 また資格学校に行っている方は、講師に「この問題はしっかりやった方
がいいですか?」と聞いてみるのも良いでしょう。

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 さて、やっと本問の解説ですが、これは原則と例外がひっくり返ってい
ます。

 原則-労働福祉事業は「政府」が行う。

 例外-労働福祉事業のうち一部を「独立行政法人労働者健康福祉機構」に
    行わせる。

 本問以外にも労働福祉事業は、未払賃金の立替払事業の関係で労働一般の
「賃金支払確保法」とも関係してきます。

 それと「独立行政法人労働者健康福祉機構」と、受給権の保護で登場する
「独立行政法人福祉医療機構」(年金担保の貸付をする)を混同しないよう
にしてくださいね。

 
本問の答え>×

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